御岳山は山の上だから

御岳山は山の上だからまだ春という感じじゃないかもしれないと思っていたけど、全然すっかり春で、スミレがたくさん咲いて、前を歩くおばさんがみつけてくれたおかげでカタクリをみることもできた。カタクリはちょうど咲き始めの頃らしく他のカタクリをみつけることはできない。このあたりはレンゲショウマが有名でレンゲショウマは夏に咲く花で、今ちょうど芽をだしている時期だ。その話を御岳山のお店のおばさんに教えてもらっている頃にはすっかりビールで体が気持ちよくてあたたかいのでケーブルカーの下の道を通って御岳駅まで歩くことにしよう。この道の杉が太くて一本一本に数字がうってあって増えていく数字をおいかけるように降りていく。御岳駅までの林道には家が点々としていて花が沢山さいているし、昨日まで雨が続いていたせいでどの家も洗濯物が干してあるのでもうひとまわりカラフルだ。おねえちゃんが原チャリで登りすぎていく。この林道は御岳山の上に住むひとにとっては生活の道だから。雲が増えてきてたまに翳る。杉の数字がいつのまにか3桁になっている。いっぽいっぽゆっくり酔いが醒めていく。ああこれは、今日はとてもいい山行だった、と主張したい。来て良かった、と。ゴロゴロしないで正解だったね、と。間違ってなかったと。でも別に間違ってもいいんだ、と。滑落だけはするなよ。